無料VPNの危険性とデータ保護への影響
モバイル向け無料VPNアプリ約800本を調べた最新調査で、危険な挙動や古い脆弱ライブラリ、権限の乱用などの問題が広く見つかったと報告されました。VPNは「守る道具」のはず——なのに、むしろ危険の入口になっている例がある。では、私たちはどう選び、どう守ればいい? 結論:アプリ名は公表されていないので、“自分で見極める目”と“スマホ側の守り”がカギです。
何が起きている?(5つの落とし穴)
- 古い脆弱ライブラリ:一部はOpenSSLの旧版を搭載し、Heartbleed級の欠陥が今も残存。これは最悪パスワードや鍵が漏れる類の問題です。
- 通信経路の弱さ:証明書検証不備などで中間者攻撃(MitM)が成立し得る設計も。
- プライバシー表示の不備:iOSではプライバシーラベル/必要理由APIと実態が食い違い、25%はマニフェスト欠落という指摘。
- 過剰な権限要求:AndroidのREAD_LOGS等、VPNの目的を超える権限を要求するアプリがある。
- 「無料」の裏側:広告・トラッキングSDKなどが入り、“データで支払う”構図になりやすい。企業のBYODでも組織リスクに直結。
重要:この調査は個別アプリ名を公表していません。だからこそ、ユーザー側のセルフ防御が現実解になります。
3分でできる「セルフ診断」
Android
- 権限を見直す:
READ_LOGS、AUTHENTICATE_ACCOUNTSなどVPNに不要な権限が付いていないか確認。外す/アンインストールを検討。 - データセーフティ欄を読む:位置情報/識別子/使用状況の収集有無と目的がVPNの本来目的に沿うかをチェック。
iPhone
- App Storeの「プライバシー」表示が具体的か。常時位置情報など用途外の収集がないか。
- VPNプロファイルを整理:使っていない構成プロファイルは削除。
“安全な選び方”の最短ルート
- 監査・第三者評価があるか:独立監査や脆弱性報奨、透明な開発元情報、監査レポートの公開有無。
- 過剰権限なし:ネットワーク以外の常時権限を求めないか。
- 長期アップデート実績:古いOpenSSLなどの放置がない。
- “ノーログ”主張の裏取り:実施監査や裁判記録/透明性レポートで検証されているか。
いますぐできる被害最小化セット
- OS/アプリ更新(最優先)——古いライブラリ由来の欠陥を減らす。
- 二段構え:公衆Wi‑FiではVPN任せにせず、HTTPSのみ/ゼロトラスト思考を徹底。
- 家族端末も点検:子どものスマホに“無料VPN”が入っていないか一緒に確認。
- 会社端末(BYOD):許可アプリリストとMDMのアプリ審査を整備。
ひとこと
「無料」は魔法の言葉。でも、通信そのものを預けるアプリで“タダ”は、ビジネスモデル的に無理が出やすい領域。お金で払うか、データで払うか。その現実を知った上で、小さく試して、権限を絞って、更新を欠かさず。この3点大事ですね。
TL;DR: 無料VPN約800本の調査で5つの落とし穴(古いコード/通信の弱さ/表示不備/過剰権限/用途外権限)が浮上。アプリ名は非公開なのでセルフ診断×安全な選び方が現実解。企業のBYODでも組織リスクになり得ます。


