クーパン創業者、3370万件情報流出から90日で初の公式謝罪——業績悪化で「脱クーパン」の影響鮮明に
韓国の大手ECサイト「クーパン」の創業者キム・ボムソク議長が、昨年11月に発覚した3370万件の大規模個人情報流出事件から90日ぶりに公式の場で謝罪しました。2026年2月27日の年間業績発表で行われたこの謝罪は、業績悪化と消費者離れが深刻化する中での対応となりました。
90日間の沈黙を破った公式謝罪
キム・ボムソク議長は2月27日のカンファレンスコールで「今回の件でご心配とご不便をおかけしたことについて、改めておおわび申し上げる」と述べ、情報流出後初めて公式の場で謝罪しました。同氏は昨年12月28日に書面での謝罪文を発表していましたが、直接的な謝罪は今回が初めてとなります。
謝罪の中でキム氏は「クーパンにおいて顧客の期待に応えられないことほど深刻な事態はない」と語り、「より良い姿をお見せしなければならないことを十分に認識しており、必ずそうする」と改善への決意を示しました。また、個人情報流出後の対応については「チームの対応方法を特に誇りに思う」と述べ、「政府当局と建設的なパートナーとして緊密に協力することを約束する」と付け加えました。
業績に色濃く残る「脱クーパン」の影響
情報流出の影響は業績数値にも明確に現れています。2025年第4四半期(10~12月)の売上高は12兆8103億ウォン(約88億3500万ドル)で前年同期比11%増となったものの、第3四半期比では5%減少しました。より深刻なのは営業利益で、約115億ウォン(約800万ドル)と前年同期比97%の大幅減となっています。
3370万人に及ぶ大規模な個人情報流出後、一部消費者による「脱クーパン」(会員離脱)が続いており、これが業績に直接影響を及ぼしたとみられています。昨年通年の売上高は49兆1197億ウォンで、目標としていた50兆ウォンの達成には届きませんでした。
台湾でも新たな問題が浮上
問題は韓国国内にとどまりません。台湾でも最近、クーパン利用者の個人情報流出が遅れて確認され、台湾デジタル発展部デジタル産業署がクーパンの対応を問題視しています。台湾政府側は、クーパン台湾法人がこれまで「台湾アカウントには影響がない」と説明してきたことを問題視し、法的措置を含む後続処分を取る方針を示しています。
この台湾での問題は、企業の国際展開における情報管理の複雑さと、各国での適切な情報開示の重要性を浮き彫りにしています。
大規模情報流出が企業に与える長期的影響
一般的に、個人情報流出事件は企業に多方面にわたる影響を与えるとされています。直接的な損失として、システム復旧費用、顧客への補償、法的対応費用などが発生し、間接的には顧客信頼の失墜による売上減少、株価下落、人材確保の困難などが長期間続く可能性があります。
特にECサイトのような個人情報を大量に扱うビジネスでは、一度失った信頼を回復するには相当な時間と努力が必要とされています。クーパンのケースでは、創業者自らが前面に出て謝罪し、政府当局との協力姿勢を示すことで信頼回復を図ろうとしていますが、「脱クーパン」の動きが業績に与える影響は今後も続くと予想されます。
短期的影響:クーパンは創業者の公式謝罪により一定の責任を示したものの、第4四半期の業績悪化と台湾での新たな問題発覚により、信頼回復への道のりは厳しい状況です。営業利益97%減という数値は、顧客離れの深刻さを物語っています。
中長期的影響:3370万件という大規模流出の影響は長期化する可能性が高く、競合他社への顧客流出が継続すれば市場シェアの大幅な変動も予想されます。また、台湾政府の法的措置次第では国際展開戦略の見直しが必要となり、アジア市場での成長戦略に大きな影響を与える可能性があります。
読者への示唆:ECサイト利用者は、パスワードの定期変更と複数サイトでの使い回し避け、二段階認証の有効化などの自衛策を強化することが重要です。また、企業側は今回の事例を教訓に、個人情報保護体制の見直しと透明性の高い情報開示体制の構築が求められています。


