あなたのお店は大丈夫?身近に迫るサイバー攻撃の脅威
要点(15秒):Web制作・システム開発で使われるGitLabに、SSRFなど6件の脆弱性が見つかり修正されました。自己ホスト環境は、利用中のブランチに応じて18.4.1/18.3.3/18.2.7以上へ更新を。外注でも「どの版を、いつ適用したか」を確認しましょう。(参考:GitLabの9/10および9/25のパッチリリース)
【経営者の視点】なぜ“対岸の火事”ではないのか
GitLabは、Webサイトや社内システムの「設計図兼工具箱」です。ここに欠陥があれば、そこで構築・運用するあなたのサイトや基幹データにも抜け道ができうる——つまり売上・信頼・取引に直結します。今回の修正の中核はSSRF(サーバー側リクエストの乗っ取り)。特にWebhookのカスタムヘッダーの扱いが不適切な場合に、認証済みユーザーが条件付きで内部リソースへ“代理アクセス”できてしまうリスクがありました。GitLabはこれを18.1.6/18.2.6/18.3.2で修正、その後のパッチでさらなる不具合も解消しています。全利用者に早急な更新が推奨されています。
出典:Security NEXTの報道(6件中2件が“高”に分類)、GitLabの公式リリース、NVDのCVE明細。
参考:Security NEXT(9/11)/GitLab公式(9/10)/NVD(CVE‑2025‑6454)/その後の追加パッチ(9/25)。
今回の脆弱性の核心(やさしく)
- SSRF(CVE‑2025‑6454):Webhookのカスタムヘッダー処理が悪用されると、認証済みユーザーが内部向けの通信を間接的に発生させ得ます。CVSSは8.5(高)。→ 仕様の誤設定やプロキシ環境の組み合わせで被害が増幅する恐れ。
- その他の“高”:SAMLレスポンスの扱いに起因するDoS(CVE‑2025‑2256 など)。→ 大規模な処理負荷で停止を誘発。
- 修正済みバージョン:9/10時点は18.3.2/18.2.6/18.1.6。その後9/25に18.4.1/18.3.3/18.2.7が公開。→ 現在は後者への更新推奨。
更新先バージョンの早見表
| 現行ブランチ | 推奨更新先 |
|---|---|
| 18.4 系 | 18.4.1 以上 |
| 18.3 系 | 18.3.3 以上 |
| 18.2 系 | 18.2.7 以上 |
もし放置したら?—中小企業を襲う「3つの悪夢」
1)ランサムウェアで事業停止
開発基盤の穴から横展開され、サーバーやPCが暗号化。営業・会計・予約すべて停止。
2)顧客情報の漏えいと信用失墜
告知・賠償・監督官庁対応が重くのしかかります。「あの会社は危ない」という評判は致命傷。
3)大手の“踏み台”にされ取引停止
供給網攻撃の“入口”扱いになれば、取引打ち切りのリスク。これは実は最も高くつく損失です。
今日やること(3分チェック)
- バージョン確認 → 即更新:自己ホストなら、18.4系は18.4.1+、18.3系は18.3.3+、18.2系は18.2.7+へ。GitLab.comは運営側が適用済みだが、連携先の自己ホスト有無を外注に確認。
- 権限とMFA:管理者・メンテナの棚卸し/すべてのアカウントでMFA必須化。
- シークレットの再発行:CI/CDトークン・PAT・Webhookシークレットをローテーション。
- ネットワークの出口を絞る:SSRF前提で、自己ホストGitLabのアウトバウンド通信制御とメタデータ/内部管理IPへの直接到達を遮断。
- 監査ログと通知:Webhook設定変更・トークン作成・権限昇格に即時アラート。
外注・制作会社への確認質問リスト
- 「GitLabは自己ホストですか? バージョンと最終パッチ適用日は?」
- 「MFA義務化/監査ログ保存/トークン保護の運用はどの水準ですか?」
- 「脆弱性情報の入手元とSLA(適用期限)は?」
まとめ:セキュリティは“コスト”ではなく“経営投資”
GitLabの脆弱性は専門家だけの話ではありません。サイト・予約・基幹システムにつながる設計図の入口だからです。今日からできる基本——最新化・MFA・シークレット管理・監査——を徹底し、外注を含めた供給網全体で弱点をふさぎましょう。アップデートは「費用」ではなく、信用と未来のための投資です。


