州内30診療所が全閉鎖——ミシシッピ大学医療センターを襲ったランサムウェアの深刻度
米国南部の医療機関で、ランサムウェア攻撃による深刻な機能停止が発生しました。ミシシッピ大学医療センターが2026年2月20日、州内約30カ所の診療所を全て閉鎖し、選択的手術も2日連続で中止する事態となっています。
州最大級医療機関の機能が完全麻痺
攻撃を受けたのは、ミシシッピ州内最大級の医療提供機関であるミシシッピ大学医療センターです。ランサムウェア攻撃により、州内約30カ所の診療所を全て閉鎖し、選択的手術を2日連続で中止する異例の事態となりました。
大学当局によると、電子カルテシステムを含む「多くのシステム」が攻撃の影響を受けており、医療従事者は手作業で情報を記録している状況です。病院と救急室は開いており、患者は適切なケアを受けているとのことですが、通常の医療提供体制は大幅に制限されています。
患者情報漏洩の可能性も調査中
大学当局は、患者情報の漏洩の有無を含む被害規模の評価を進めています。調査チームは患者の個人情報がアクセスされたかどうかの確認を行っており、予防措置として停止したネットワークシステムの復旧作業に数日を要する可能性があると警告しています。
攻撃者から大学に連絡があったことも明らかになっていますが、要求内容については公表されていません。大学はFBIと連携して対応にあたっています。
公的機関への攻撃が急増する現状
FBIの特別捜査官は記者会見で「最優先はシステム復旧による患者ケアの再開だ」と表明しました。公立学校や公的機関に対するランサムウェア攻撃は近年急増しており、911通報機能の停止や学生の機密データの流出など、様々な被害をもたらしています。
医療機関への攻撃は特に深刻で、患者の生命に直結する可能性があるため、復旧作業には慎重さと迅速さの両方が求められています。
医療機関が直面する新たなリスク
今回の事件は、現代の医療機関がデジタル化の恩恵を受ける一方で、サイバー攻撃に対する脆弱性も抱えていることを浮き彫りにしました。電子カルテシステムの停止により、医療従事者が手作業での記録を余儀なくされる状況は、医療の質と効率に大きな影響を与えています。
短期的影響:医療機関のランサムウェア攻撃は患者ケアに直接的な影響を与えるため、他の業界への攻撃よりも社会的インパクトが大きくなります。約30診療所の全閉鎖という規模は、地域医療体制に深刻な穴を開けており、緊急性の低い医療ニーズを持つ患者への影響が懸念されます。
中長期的影響:医療機関へのサイバー攻撃増加傾向は、医療DXの進展と表裏一体の関係にあります。電子カルテや遠隔医療システムの普及により利便性は向上する一方で、攻撃対象も拡大しています。医療機関には従来の医療安全に加え、サイバーセキュリティの観点からのリスク管理が不可欠となっています。
読者への示唆:医療機関は定期的なバックアップ取得と復旧テストの実施、職員へのセキュリティ教育の徹底が重要です。また、攻撃を受けた際の業務継続計画(BCP)の策定により、患者ケアへの影響を最小限に抑える準備が必要です。一般利用者も、医療機関受診時の遅延や制限について理解を示すことが求められます。

